邦画大好き丸の感想文

黄金時代は去ったのか? いや、まだ邦画にも面白い作品は生まれるはずだ、多分

【感想】緊急検証!THE MOVIE ネッシーvsノストラダムスvsユリ・ゲラー

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緊急検証!THE MOVIE ネッシーvsノストラダムスvsユリ・ゲラー

2019年公開

監督 高橋 圭

 

◉あらすじ(公式サイトより)

CS放送ファミリー劇場で2012年から放送されているオカルトバラエティ番組「緊急検証!」の劇場版。かつては日本中で一大ブームとなりながら、現在ではいわゆるオワコン状態となっているオカルト。そんな中、この番組は最新のプレゼンテーションを展開し、平成のオカルトシーンを牽引してきた。今回の劇場版では、番組でもおなじみの飛鳥昭雄山口敏太郎中沢健による通称「オカルト三銃士」の3人が、かつて大ブームを巻き起こしたオカルト案件の数々を徹底検証していく。

 

◉私的評価

 

★★★★☆☆☆☆☆☆   4/10

 

◉総評

 

映画が始まる前のお約束「ストップ映画泥棒」。劇場でよく映画を見る人は目にタコができるくらいに見飽きている寸劇であるが、本映画ではその役目をあのユリ・ゲラー氏が果たしている。なんと、我々視聴者に映画泥棒しないように催眠術をかけてくるのだ!

 

これがクソ面白い。「アナタハ、エイガドロボウ、シナーイ」など言わされてる感満々の拙い日本語がジワジワ効いてきて、遂には言い間違えるシーンで劇場が爆笑の渦に。これ以上ない掴みである。

 

続いてのネッシー特集。これも紹介者の中沢健さんのキャラやコメディタッチの編集でとても面白かった。「世界中の湖がネス湖化している=あなたもネス湖に行ったことがある」や「ネッシー鈴木亜美が好き」など、マジでイかれてるとしか思えない(褒め言葉)内容なのだ。

 

けど、それ以降のノストラダムスユリ・ゲラーが地味すぎる。普通のオカルト番組って感じ。テレビで見てる分にはいいけど、わざわざ劇場版にするほどではない。ノストラダムス編は取材などもなく、ダラダラ自論を語っているだけだし、ユリ・ゲラー編で登場する超能力少年があまりにも胡散臭すぎて、しかもそれが笑いになってないからつまらない。

 

なんでネッシー編のテンションを持続できなかったのか。昔流行ったオカルトを再特集っていう内容なんだから、もっとぶっ飛んでていいんだよ。あの頃に感じていた理不尽でいて魅力的な興奮を味わいたかったのに。観客の見たいものとの齟齬が大きいという印象だった。

 

そして、映画後半から唐突に始まるドキュメンタリー。TVシリーズのファンであっても、退屈だと感じたんじゃないだろうか。オカルト三銃士と呼ばれるそれぞれの専門家たちへのインタビューなのだが、あまりに普通でコメントに困る。相変わらず中沢さんのターンは面白かったが、それ以外は眠気すら覚えるほど。

 

オカルトがオワコンじゃないのを証明する、というテーマなのに、肝心の中身がほとんど冗長なのだから、オワコンと言われても仕方がないんじゃなかろうか。

 

まあ、目新しさで言えば、劇場で配布されるスプーンをユリ・ゲラーと一緒に曲げるコーナーがあるので、そこで挽回できていた気はする。劇場のお客さんがみんなスプーン片手にスクリーンを見ている光景は衝撃的だった。(僕も割と本気で挑みましたが、スプーンは微動だにせず)

 

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あとユリ・ゲラーが想像以上に気の良いおじさんで、冒頭の「映画泥棒」もそうだったけど、劇中でのインタビューシーンもめちゃくちゃ良かった。意外だったのが、自分は特別な超能力者じゃなくて、世の中にはもっと凄い人が存在している、って認めるところ。あれだけ有名になったのにフレンドリーかつ謙虚で、一気にユリ・ゲラーのことが好きになった。

 

とまぁ、光るところは光るけれど、ほとんどの部分でテレビのオカルト番組と変わらない、そんな感想の映画でした。ですが、スプーンを劇場で曲げたならば、必ず脚光を浴びられると思うので、超能力者の方には非常にオススメできる映画かと思います。能力を持て余しているそこの君、是非劇場へ足を運んでみてください。なんてね。