邦画大好き丸の感想文

黄金時代は去ったのか? いや、まだ邦画にも面白い作品は生まれるはずだ、多分

【感想】なぎさ

なぎさ

なぎさ

2023年公開

監督 古川原壮志


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◉あらすじ(公式HPより)

思い出と夢を通して喪失と向き合う・・・。

頼れる親のいない環境で育った文直(ふみなお)とその妹、なぎさ。広い世界を求めるように、成長した文直はなぎさを残し、ひとり故郷を後にする。三年後。偶然訪れた心霊スポットのトンネルで、文直はなぎさの幽霊に出会う。そこはなぎさが事故死した現場だった。トンネルの暗闇の中、文直はなぎさを探し彷徨い始める。暗闇は罪と深い喪失の時間へ、文直を誘う。

 

◉私的評価

★★★★☆☆☆☆☆☆   4/10

 

◉総評

 

物理的に暗すぎてよく分からない映画。

 

画面を暗くすることで見ている側に想像させる、って手法は嫌いじゃないし、日本映画らしくていいと思うんだけど、多用し過ぎて単調になっている。あと、無言の長回しも多いんだけど、同じく使い過ぎ。

 

最近の邦画が敬遠しがちなことをあえてやろうとする気概は買うが、どうしてそれらをしていないのかが逆によく分かるという皮肉的な出来になってしまっている。

 

構成は割と嫌いじゃない感じで、セリフが少ないながらも、映像だけで裏にある家族内の複雑でグロテスクな事情をこちらへと想起させるのは見事な手腕だと感じた。だけど、流石に説明が少なすぎて、ある程度あらすじを頭に入れておかないと、おそらくほとんど内容を理解できないと思う。エンタメ的にそれはどうかと。

 

あと、個人的には不意打ち気味にくる性描写は好きなんだけど、あらすじからは全く想像できない展開なので、人を選ぶなぁと感じました。

 

映像が売り、って感じの映画にはなるんですが、最初にも言いましたけどこっちも同じような構図が多すぎて、かなり期待外れだった。引きの長回しか、人物の接写の長回しか。初めの心霊スポットに行く流れでは緩急があってワクワク感があったが、それ以降はずっと陰鬱な映像が続くので、飽き性の人にはたまらない作品だと思う。

 

他に印象的だったのはBGMだろうか。全編通して環境音のみの静かな映画で、ラストのスタッフロールも歌声のみという徹底っぷり。それがすごく映画の雰囲気とマッチしていて良いんだけど、ここもやはりメリハリがないと感じる一因になってしまっていたように思う。

 

キャストについては、やはりセリフが少ない影響からか、かなり印象が薄いです。演出のせいで、ぶっちゃけ誰でもいいようなシーンばかりだし。

 

 

まとめると、透き通った塩ラーメンなんだけど、煮込みが足りなくてコクのないスープになってしまったみたいな。そんな物足りなさを感じる映画でした。