邦画大好き丸の感想文

黄金時代は去ったのか? いや、まだ邦画にも面白い作品は生まれるはずだ、多分

【感想】〇〇式

〇〇式

ポスター画像

映画情報

監督 近藤亮太

脚本 くるむあくむ 近藤亮太

主演 九十九黄助 吉田ヤギ 畦田ひとみ

2025年/41分

 


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あらすじ(公式HPより)

この式は、 一体なんのために開かれたのか?

“式”とは。 何者かがいつの間にか始めたもの。 一度始まると、止めることはできないもの。 意味が生まれる前に、すぐそこに在るもの。

「〇〇式」は、どこかに存在する、とある“式”の話。 それは祝福か、別れの儀式か ──── 。

その答えはどこにあるのか。

 

 私的評価

★★★★☆☆☆☆☆☆  4/10

 

感想

 

◉41分フルプライスで見るほどのもんじゃない

 

これも時代の流れなのか、昨今の邦画では上映時間の長尺化が進んでいる一方で、ショートフィルムとは言わないまでも短めの映画が公開されることがよくあります。昨年話題になった「ルックバック」(58分)なんかがその代表例でしょうか。こちらは上映時間を考慮してか1700円という鑑賞料で統一されていました。それでもなお割高に感じてしまいますが、藤本タツキ先生の原作ネームが丸ごとついてくるという特典付き。ちな、僕も持ってます。

 

それに引き換え本作では、特別価格も設定しておらずフルプライスにて勝負していまして。特典として赤い封筒も貰えるんですけど、「ルックバック」と比較するとどうしても見劣りしてしまいます。じゃあ映画の中身が良かったらええやろがい、という話なんですが、面白くないことはないんですがわざわざ劇場で2000円払ってみるほどのもんじゃねえなってのが正直な感想でした。あんまり好きな言葉じゃないので使いたくないんですけど「コスパ」が悪いです。

 

どこが一番微妙だったかっていうと、やっぱりこういう短時間の作品ってどこかに突出してないといけないと思うんですよ。何度も例に出して申し訳ないですけど、「ルックバック」だと熱量溢れる作画に加えて、衝撃のストーリー展開があるわけじゃないですか。本作はというと、一応どんでん返しというか、それなりに練った展開があるわけなんですけど、予想を裏切るほどかというとそうでもない。どちらかといえば、もしかしてこういう話なのかな、ってのを地で行くようなストーリーでした。

 

監督の近藤亮太さんですが、「イシナガキクエを探しています」「飯沼一家に謝罪します」とか滅茶苦茶好きで、かなーり期待して前作の「ミッシング・チャイルド・ビデオテープ」見に行ったんですけど、なんか普通のホラーって感じで拍子抜けしてしまったんです。出来は悪くないんですが、求めている方向性とは違うというか。本作は予告見る限り、なかなか「ぽさ」を感じる映像だったので次こそは、って見に行ったんですけどね……。

 

思うに、雰囲気作りとか不気味さの表現とかはとてもうまいと思うんですよ。本作にしても前半戦はかなり引き込まれる恐怖があって、ジャンプスケアに頼らない和製ホラーとしての完成度も高かったと思うんです。それは前作もしかりで。ただ、そこから映画を終わらせるため、整合性を取る流れというか、エンディングへの向かわせ方というか、そのあたりがあまり上手ではないと感じました。TXQ作品群では視聴者に考察させるために、終わりはぼかしてる作品ばかりだったから気にならなかったのかもしれませんけど。

 

◉前半の異質さから後半の平凡さへ

 

値段はさておくことにして、内容としてはどうなのかといえば、上にも書きましたが、前半の式が行われてる部分はホント面白かったんです。新郎がいない結婚式、着々と進行していくように見えて、目を凝らせば不協和音のような違和感がたくさんある。空気感もいいですが演出的にもゾワリとくるものが多くて楽しかったです。

 

友人のスピーチがすべて過去形で語られていたり、なにやら考察のしがいがありそうなビデオが上映されたり、司会のセリフも意味深だし、おいおいこれはどういうことなんだいとワクワクゾワゾワが止まりませんでした。中でも来場者たちが一斉に後ろを向いて主人公と目が合うシーン。「飯沼一家」でも似たようなシーンがありましたけど、視線の恐怖とでもいうのでしょうか、描き方がとても不穏で好みでした。

 

そしていよいよ後半戦なんですけど、ここからが問題。式がひと段落して真相が明かされていく展開になるんですが、このあたりがホント蛇足というか、それまでのある種神秘的な雰囲気をぶち壊すチープさを感じてしまいました。オチまでの流れも予定調和。ああそうだよねの連続で驚きがなかったのも痛い。

 

本来であれば、そういったところを俳優陣の演技でカバーしてシーンの価値を上げていくんだと思うんですけど、良くも悪くもメインキャストが半分素人なのでそこまでの力量もなく、なのでダイレクトに展開のつまらなさが表面に出てしまっていると感じました。いや別に旧かいばしら現九十九さんのこと嫌いじゃないんですけど、これまで出てる映画はいわゆる素人役だったからよかったものの、ここまで本格的に俳優として出るんなら、そりゃ粗も目立っちゃいますよということです。

 

映画としては微妙なのかもしれませんが、式の内容をもっと充実させて、あえて後半のネタばらしゾーンは省いた構成にしたら、評価は違ったかもしれないと思います。一般層からは結末をきっちり描かないなんてふざけてる! と批判されるかもしれませんが、この映画を見に来てる人のほとんどがモキュメンタリー作品や変わったホラーのファンなんですから、みんな満足してくれると思うんですよ、私は。

 

◉まとめ

 

・せめて「ルックバック」と同じ鑑賞料1700円にしてほしかった

・〇〇式の雰囲気は神! 後半はぶっちゃけ蛇足……

・短い作品だと感想も短くなっちゃうね

 

まとめると、最後までトゲトゲしててくれればあるいは……な映画でした。長時間映画と短時間映画、両者ともに増えてますけど、最終的に生き残るのは果たしてどちらになるのでしょうか……