【感想】ChaO
ChaO

映画情報
監督 青木康浩
脚本 青木康浩
2025年/89分/G
あらすじ(公式HPより)
人間と人魚が共存する未来社会。 船舶をつくる会社で働く サラリーマンのステファンは、 ある日突然、人魚の王国のお姫様・ チャオに求婚される!! その前代未聞の求婚は 瞬く問に世界中に広がり、 「2人の結婚は人間と人魚、両族の 友好関係を樹立する」として、騒ぎ立てられる。 ステファンはなぜチャオに求婚されたのか分からないまま、 周りに流されて結婚することに!
人間の世界に慣れていないチャオとの生活は ハラハラ・ドキドキの連続! だけど、純粋で真っすぐなチャオの愛情を受けて、 ステファンも少しずつあたたかい感情を持つようになっていき―― 2人の恋の行方はどうなる!?
私的評価
★★★★★★★★★☆ 9/10
感想
◉何が嫌いかより・・・
この映画、欠点を上げればキリがないくらい、決して出来の良い作品とは言えません。例えばですけど、一番気になったのはやっぱり声優面。主人公たちを俳優が演じてるんですが、ぶっちゃけジブリ作品とかと比べてもとんでもないレベルで酷いです。山田杏奈さんの演技はまだ許容できるとして、男性陣の鈴鹿央士さん・太田駿静さんあたりはノイズになりかねない出来でした。特に叫び声をあげるシーンとか感情が発露するところとか、もう棒読みもいいところで。
あとは脚本もかなり引っかかる部分が多かったと思います。色々起こるんですけど、結局のところ自業自得な面が強すぎて、感情移入もしづらいです。そもそも主人公が海洋生物を巻き込まない船のスクリューを作るというメインストーリーがあるんですけど、それって別に海の生き物を守りたいからとかじゃなくて、うっかりミスで巻き込まれた両親が事故死したからなんですよね。あと後半の騒動はほぼチャオのやらかしのせいですし。
インタビュー形式で過去を振り返るような構成にしたのも謎。別にその構成じゃなくても物語は成立してますし、ぶっちゃけあんま面白くないし邪魔でした。多分、キャラクターを増やしてゲスト声優として有名人を出すためですかね?
もひとつおまけに言うと、キャラデザも完全に日本向けではないですよね。なんか、ある程度年を取った人たちが訳もなく二頭身で描かれていたりと、見た目のウケを狙う割にはサブキャラに魅力がなさすぎる。構想9年のくせに、公開時期をあえてアニメの王(鬼滅)にぶつけてるあたりも、ちょっとでもやれると思ったのか知らないがあまりに下手を打ちすぎている。
そんな何から何までダメな映画というのが世間一般の認識だと思います。でもね、ダメな子ほどかわいいっていうじゃないですか。僕の短い人生の中で、そのような感情を抱いたことってこれまでなかったんですけど、まさか映画に対して芽生えてしまうとは。そう、僕はこの映画めちゃくちゃ好きなんです。客観すれば上に連ねたように欠点をあげつらうことは容易なんですけど、ほら「何が嫌いかより何が好きかで自分を語れよ!」ってあの有名なルフィ(偽)も言ってたじゃないですか。じゃあ話しますね。
◉チャオとかいう性癖刺激モンスター
まずはやっぱりチャオですよね。彼女について簡単にまとめると純朴系ギザ歯亜人娘です。性癖の宝石箱です。

公式サイトより
チャオというキャラクターを生み出しただけでも、この映画の価値は鬼滅の刃よりも高いと私は信じています。おさかな形態もキュートでいいんですけど、やっぱ人間形態ですよね。画像右下のギザギザな歯を見せながら笑うとことか、もう僕の性癖にずっぽしなわけですよ。たまんねえなおい。
ただ可愛いだけのキャラクターならそれこそ星の数ほどいますが、それだけに収まらない、癖を凝縮した要素盛りだくさんなのも嬉しいです。手のひらの水かきとか、首元の鰓(えら)とか、万人受けを狙うなら外した方がよい部分でも欲望のままに詰め込んでる。人魚=グラマーじゃなく、貧乳気味なのも僕に刺さりました。フィギュアとか超ほしいです。絶対出ないでしょうけど。
見た目だけじゃなく、もちろん性格も100%パーフェクトなんですよ。ずっと一途に主人公のことを思い続けていて、やっと見つけたら思わず丸のみにしちゃうのとかも超かわいいですし、頑張って人間の料理を覚えてる途中に怪我して絆創膏貼っちゃうのとか、ベタなんですけどめっちゃいいです。彼女が一見訳の分からない行動を取っているのが、実は主人公との幼いころの約束だったと明かされるのとか、細かい粗は多い脚本ではありますがここだけはホントによくできてて感動しました。
いやホント、ちょっと多めに些細な部分に目を瞑ってもらえば、いいストーリーだと思うんですよマジ。上の伏線回収とか綺麗な形できっちりできてますし、ステファンとチャオが絆を深めていくところは自然とにやにやできる感じですし。ラストがきっちり超ハッピーエンドなのもいいですよね。ちょっと不安にさせておいてからのドーンですから、カタルシスも感じられます。アニメ映画なんだから、みんな小難しいこと考えすぎずに楽しみましょうよ。
◉超絶作画を惜しげもなく高速で押し流していく
もう一つ好きなポイントとして、アニメーションの出来がもう段違いに素晴らしかったと思います。癖のある作画ではあるんですけど、もう最初から最後までスピード感が半端ないんです。テンポよく場面が切り替わっていくので飽きることなく見れるんですけど、どのシーンもクオリティが非常に高くて冷静に考えればとんでもない労力がかかっていると分かる映画になっています。
特に力が入っているのはチャオのダンスシーンと後半のカーチェイス。ダンスシーンはそれ単体で見返したいくらいにチャオの魅力をこれでもかと描写していますし、水と光の表現とリズムがクッソ気持ちいい。唐突にMVでも始まったのかと疑うほど、突拍子もないぶっこみをしているシーンではあるんですが、まあこのクオリティなら自慢したくもなるかと納得しちゃいました。映画の配信よりも先にこのシーンをyoutubeにでもあげてほしいです。と思ってたらちょっと違うけどありました↓
なんと山田杏奈さんが歌ってます。実際の映画では謎太極拳とコラボしてました。気になったら見てね。
もう一つの激熱シーンであるカーチェイスも必見です。こっちはさすがに映像なさそうですけど、もうハチャメチャなアクションって感じ。近いところでいうと湯浅監督が作画してるクレヨンしんちゃんの劇場版ですかね。コミカル全開だけどアクションはフルスロットルな感じです。ちょっと崩れた絵が縦横無尽に画面を駆け巡る、みたいな描写好きな人にはたまらない映像だったと思います。
コミカルといえば、この映画いたるところにコメディ要素が敷き詰められていて、1分に1回くらいは何かしら笑わせようと仕掛けてきます。正直、結構滑ってるところはあるんですけど、シュールな感じの部分は僕も結構好きでした。終盤にどこかに吹き飛んでいたと思っていた記者のおっさんが如意棒に乗って現れながらあきらめずに取材しようとするところとかお気に入りです。
良い意味でも悪い意味でも尖りまくっている映画ではあるんですが、やっぱり僕は「癖が強い」映画が好きなんだなと自覚できる一作でした。興行でこけてることが話題になっていますが、馬鹿にするだけでなく、実際に劇場で見てほしいです。2割くらいの人には刺さると思います。
◉まとめ
・ぶっちゃけ欠点は多い
・だがチャオの可愛さでおつりがくる
・作画はホント凄い。見てて気持ちい
・ぬいぐるみ売り切れてた。絶対映画見てないのに買ってるやついるだろ

まとめると、人を選ぶがハマればとことんハマるラブコメアニメ、な映画でした。お願いですからどこかフィギュア作ってほしいです。人間形態の。