邦画大好き丸の感想文

黄金時代は去ったのか? いや、まだ邦画にも面白い作品は生まれるはずだ、多分

【感想】ヒッチハイク

ヒッチハイク(2023)の上映スケジュール・映画情報|映画の時間

 

ヒッチハイク

2023年公開

監督 山田雅史

 


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◉あらすじ(公式HPより)

 

大学生の涼子と茜は、ハイキングの帰りに山道で迷ってしまう。やっとバス停に辿り着いたものの、バスが来る気配は全く無かった。さらに、涼子は足を怪我しており、茜の彼氏も飲み会で迎えに来られないらしい。ふたりは、意を決してヒッチハイクをすることに。こんな山奥で無謀にも思えたが、運良く一台のキャンピングカーが停まる。運転席から降りて来たのは、時代錯誤のカウボーイの格好をしたジョージと名乗る男。ジョージは快くふたりを受け入れ、車内へと誘う。そこには、ジョージの家族も同乗していたが、どこか異様な雰囲気が漂っていた―。
一方、過保護な親にウンザリしている健は、悪友の和也を誘い同じ山でヒッチハイクの旅をしていた―。

 

◉私的評価

★★★★☆☆☆☆☆☆   4/10

◉総評

 

『きさらぎ駅』はやっぱり奇跡的な出来だったんだなと再認識させられた映画。

 

 

hougatarou.hatenablog.com

 

同じ脚本家ということで期待して見に行ったんですけど、ううん、期待が大きすぎたのか、色々ダメなところが目立つ映画に感じました。

 

そもそもこの映画の元ネタの話って、有名どころの実話怪談系とは違って、ぶっちゃけかなり創作っぽさがある内容なんですよ。正直なところ、劣化版ホラー短編みたいな、ある意味2ちゃんに載ってるからこそ許されてる作品なんです。だから、今作みたいにアレンジが薄めだと単純に話として面白くないんですよね。『きさらぎ駅』みたいに思い切った舵切りが欲しかった。

 

特に時間がずれてる云々のところとか、映画だけしか知らない人からすれば全く入れる必要のない設定なんだけど、オリジナルの話にはそれっぽい描写があるからって無理矢理寄せにいってるんですよね。完全に調理失敗しています。

 

あとは『きさらぎ駅』があんなに面白かったのって主人公のキャラが立ってたところも大きな要素だと思うんですけど、今作はそれもダメ。ヘタレ設定かと思えば、なんか脈略もなく覚醒したり。ある種王道的なキャラクター造形なんですけど、ありきたりすぎて作風とマッチしていませんでした。

 

それに、あんまり偉そうなことは言いたくないんですけど、さすがに主役の演技が微妙過ぎたような気がする。ひたすら棒読みで「俺は悪くない」みたいなことを言いながら逃げるシーンとか、おええって言いながら吐きそうになるシーンとか。彼が出ているほかの映画を見てないので、演技指導が悪いのか彼自身が駄目なのかは分かりませんが、B級ホラーというのを差し引いてもリアリティのかけらもない演技だったと思います。

 

と、ここまでは悪いところばかり書きましたが、めちゃくちゃ良い点が一つ。というか、これだけで見る価値はあったとまで言えるのですが、それはジョージ一家の怪演っぷりです。初っ端から『おおブレネリ』を家族で合唱するシーンがあるんですけど、そこだけ切り抜いたら名作レベルですからね。ヤバい。

 

ジョージを演じる川崎麻世さんも相当やべー奴感が出ていて良いんですけど、ピカイチなのが双子の赤と青を演じた結城さと花・こと乃さんたち。めっちゃ怖かわいい。原作ではおっさんの双子っていう設定なんだけど、これは良改変! 包丁持ちながら疾走するシーンめっちゃ好き。ぴょんって丸太飛び越すところほんと好き。

 

まとめると、普通にB級ホラーとして見れば及第点はあるけど、期待していた変化球が来なかった凡作といった作品でした。とはいえ、今作も大勢でわいわい見る分にはいい映画なのかもしれません。私は劇場で一人っきりでしたが。