邦画大好き丸の感想文

黄金時代は去ったのか? いや、まだ邦画にも面白い作品は生まれるはずだ、多分

【感想】きさらぎ駅

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きさらぎ駅

2022年公開

監督  長江二郎


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◉私的評価

★★★★★★★★☆☆   8/10

◉あらすじ(公式HPより)

大学で民俗学を学ぶ堤春奈(恒松祐里)は、十数年来インターネット上で話題になっている都市伝説「きさらぎ駅」を卒業論文の題材に決める。調査の結果、この都市伝説の投稿者「はすみ」だとうわさされている女性・葉山純子(佐藤江梨子)の存在を知った彼女は、数か月にわたって連絡を取り続け、ついに純子と対面を果たす。異世界へたどり着いたという純子の体験を取材後、春奈は「きさらぎ駅」の舞台となった駅へ向かう。

 

◉総評

 

クソ映画が見たい。

 

人間なら誰しもがもっているこの原初の欲望に従い、何かいい作品がないかと探っていたところ、元ネタは2ch! 低予算! ホラー! というどこに出しても恥ずかしくないクソ映画要素を詰め込んだ本作を発見し、僕は意気揚々と映画館へと向かった。

 

何を隠そう、学生時代は腐るほどしゃれ怖まとめを読みつくしてきた僕である。「きさらぎ駅」なんて、その中でもレジェンド中のレジェンド。ごみを料理してきたら三角コーナーに叩き捨ててやろうという意気込みだ。

 

出だしは順調だった。回収できるはずなさそうな伏線匂わせ、時代遅れのクソCG、胃がもたれる程連続するビックリ映像。あと、民俗学。クソホラーどもは民俗学者をオカルト研究しかしてないとでも思っているのだろうか。褒めるところと言えば、一人称視点が独特なくらいだろうなと、僕は鼻くそをほじりながら鑑賞を続けた。

 

だが奴は……はじけた。

 

後半に差し掛かるくらいで僕は気づいた。あれ、これ、面白いぞ。

 

おそらくこの映画を見た方の大半があげる感想を述べると、あの歴史的名作「カメラを止めるな」を彷彿とさせる怒涛の後半戦なのだ。かといってパクリではなく、あくまでオリジナリティ溢れる展開である。特に伏線回収の仕方は、「カメ止め」と比較しても遜色ない出来となっていて、観ていて非常に気持ちがいい。

 

一番はじけていたのはなにより主人公だろう。お前、そんな奴だったのかと驚くこと間違いなし。詳しく言うとネタバレになるが、車のシーンで「この中で運転できる人いますか?」って聞くところがこの映画の最高潮だった。きさらぎ駅よりこいつのほうが怖いよ。

 

ラストのオチも100点満点。パーフェクト。

 

唯一の欠点は、肝心のホラー部分が全く怖くない上に雑だったこと。人が爆発したり燃え尽きたりする意味がよく分かりませんでした。それもザ・B級って感じで僕は好きですけど。まあ、もう少し恐怖描写の工夫はできたんじゃないかなとは思う。

 

ホラー部分が駄目なのにくそ面白いホラー映画ってなんだよ……。自分で書いててもよく分からないが、それがこの映画なので気になった人は即刻映画館に足を運ぶべきである。上映館少ないよ!!