邦画大好き丸の感想文

黄金時代は去ったのか? いや、まだ邦画にも面白い作品は生まれるはずだ、多分

【感想】先生! 口裂け女です!

映画「先生!口裂け女です!」口裂け女役の屋敷紘子「ロンドンから帰国の際にバックパッカー」 - 記事詳細|Infoseekニュース

 

先生! 口裂け女です!

2023年公開

監督 ナカモト ユウ

 


www.youtube.com

 

◉あらすじ(公式HPより)

 

悲劇と復讐のヒロインは、伝説の最凶魔女だった。

70年代後半「口裂け女」都市伝説が日本列島を駆け巡り、 子どもたちは恐怖におびえて社会問題にまで発展した・・・。 あれから半世紀、コロナ禍を経て、多くの人々が今もマスクで顔を隠す中、 あの伝説がまったく新しい姿でスクリーンに蘇る―。

 

◉私的評価

★★★★★☆☆☆☆☆   5/10

◉総評

 

やってることは面白いはずなのに、どこか今一つな映画。

 

予告編すら見ずに劇場に行ったのだが、正解だったと思う。まさか、コメディとは思わなんだ。ホラーからコメディに変わる展開って、ぶっちゃけ今となっては使い古されてはいるんだけど、めちゃ好物なんですよね。前半のホラー描写がいまいちで、映像も暗くてよくわかんなくて、これダメかもしれないと思った矢先の出来事だったので、こりゃあ面白くなるぞとすごく興奮しました。

 

そこからのストーリーも唯一無二だと思います。口裂け女と仲良くなって、「チャリで来た」みたいな感じで一緒に写真撮ったりする映画なんて、古今東西これしか存在しないでしょ。作者がインタビューで「地獄先生ぬ~べ~」を意識したって言ってたんですけど、なるほどなと思いました。あれも最初はガチホラーだったけど、妖怪が仲間になったりコメディ色がどんどん強くなったり、似通っている部分が多かったです。

 

見せ場であるラストの大乱闘シーンも、最高の出来でした。それまでのうっ憤を晴らすカタルシス満載な展開だし、鎌やらハサミやら敵の腸やらで大立ち回りする屋敷さんのアクションも見事。ここだけ明らかに金と力の入り具合が違います。必見。

 

そう、客観的に分析すれば僕の好みドストライクな作品であるはずなんです。でも、そこまで評価は高くない。その理由として一番にあげられるのが「雑さ」にあると思います。

 

特に適当に作ってるなあと感じたのは、主人公周りのキャラクターや感情表現でした。口裂け女に諫められて、悪事から一度は手を引く主人公なんですが、金を用意しないといけないからまた盗みに手を染める。それで仲間たちと仲違いするんですが、次のシーンでは特に理由もなくすぐに仲直り。キャラクター描写が薄い上にブレブレなんですよね。

 

口裂け女に関しては、あのビジュアルで可愛いと思わせるくらいに作りこんでいるだけにもったいなさを感じた。多分、一番撮りたいところはしっかり作るんだけど他はないがしろにしちゃうタイプなのかと偉そうに推測してみたりします。

 

あとはストーリーもやっつけで、整合性のなさが目立ちました。それも一つの味ではあるんだろうけど、終盤が強引&強引。物語上、連続誘拐事件と反グレ集団に金をせびられるのと、二つの問題を解決しないといけなくなるんだけど、それを同時進行でやってるもんだから、もうなんか滅茶苦茶になってました。時間軸をちゃんと分けるか、もしくは誘拐事件のほうはバッサリ切っちゃってもよかったような気がします。

 

個人的傑作になるくらいの要素はあった映画だけに、細部やら構成やらをしっかり詰めて作ってくれていればなぁとすごく残念な気持ちになってます。キャストもいい感じだったのに。いきり散らかしてからぼこぼこにされる大迫さんとかすっごく解釈一致で見てて楽しかったし、あとは上野凱さんの演技も好きで今後が楽しみだなと思ったり。ホント惜しい。

 

でもまあ、見てて楽しい映画には間違いありませんから、最近プチバズしてた『きさらぎ駅』みたいにコイツも配信されたらある程度話題になるかもしれないので、そういうB級界隈に敏感な方は先に劇場で視聴することをお勧めします。以上!