【感想】宇宙人のあいつ
宇宙人のあいつ
2023年公開
監督 飯塚 健
◉私的評価
★★★☆☆☆☆☆☆☆ 3/10
◉あらすじ
ある男の告白が、平凡な家族に激震をもたらす。 彼は、23年間も、真田家の四兄妹の次男・日出男として家族になりすましてきた宇宙人だというのだ!しかも地球を離れるまでの残された時間は3日間―。日出男は、限られた時間の中で、人間としてやり残したことに奮闘することに!《家族になりたかった男》を通して映し出される家族愛をコミカルに描いたエイリアンコメディが誕生した。
◉総評
ノリと勢いだけで映画を作った結果、盛大に滑ってる感じの出来に。設定はすごく好きなんだけどなあ。なんでこうなった。
どうしてこんなに面白くないのか、言語化するのは非常に難しいんだけど、物語として致命的に脆いという部分があると思う。
この映画の肝となるのって、兄弟それぞれが問題に直面し、それを解決していくストーリー構成だと思うんだけど、その方法や展開が非常にモヤモヤするものだった。
嫌がらせしてきた相手が唐突に心変わりするし、彼氏をクズ呼ばわりして一家総出で制裁するんだけど、よく考えてみたら別に彼が浮気したりとか悪いことをやってるわけではないのにやり過ぎだと思うし。加えて、それらの経験が兄弟たちの成長に繋がっているかと問われれば、結局は宇宙人パワーに頼ってしまっているので、はっきりノーなのである。
そんでもって、これは主要人物が多い映画にはありがちなんだけど、やっぱり短い上映時間で色々解決しようと詰め込みすぎたせいで、非常にとっ散らかっているのも気になった。うなぎのくだりとか、時間をかけてやる意味がわからない。
あと、肝心なコメディ部分にも文句がある。バナナマン日村さんはじめ、笑いに自信ありな感じのメンツを集めてはいるが、そのキャラクターに頼りすぎていて、台詞回しとかがちっとも面白くない。それなのに、コメディシーンをバンバン連打して、『ほら、面白いでしょ』みたいな感じで観させられるのがかなりこたえた。唯一笑えたのはWi-Fiのくだり。あそこだけセンスある。
そしてそれ以上に許せないのがあのオチである。今作最大の見せ場というか、話のキーになってくるのは、兄弟に混じった宇宙人が誰を母星に連れ帰るか葛藤するっていう部分なんだけど、いよいよラスト誰を選ぶのか選ばないのかという最も肝心なシーンがすごく雑。え、結局そうなるの、これまで葛藤してたのは? みたいな。ハッピーエンドに見せかけて、めちゃくちゃビターエンドだし、エピローグでそれを誰も引きずってないみたいな感じの描かれ方をしているので、すごくしこりの残る終わり方。
期待していた分、あまりにも残念だった一作でした。