邦画大好き丸の感想文

黄金時代は去ったのか? いや、まだ邦画にも面白い作品は生まれるはずだ、多分

【感想】歯まん

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歯まん

2015年公開

監督 岡部 哲也

 

◉あらすじ(公式サイトより)

 

 モンスターになってしまった少女の悲劇。

遥香は変わった体質が原因で、初めてのSEXで彼氏を殺してしまう。

恐くな­った遥香はその場から逃げだしてしまう。その時から、遥香の呪われた人生が始まる。

 遥香は自分のコンプレックス、トラウマを乗り越える事ができるのか……。

『生と性と愛』がテーマのダークファンタジー

 

◉私的評価

 

★★★★★★☆☆☆☆  6/10

 

◉総評

 

最低限の前情報だけ持ってこの映画を観に行ったのだが、まず念頭にあったのが「キラーコンドーム」。だってタイトルがそのものズバリのど直球ですよ。そら期待します。はてさて、どんなエログロホラーを見せてくれるのか……。そんな期待は良い意味でも悪い意味でも裏切られました。

 

本映画のあらすじを簡単にまとめると、コンプレックスを抱いた少女が、ちょっとワイルドな男性に惹かれていくという恋愛もの。そう、恋愛ものなのです。

 

もちろん、血飛沫ブシャーのゴア表現もあるにはあります。ですが、かなり控えめ。「歯まん」そのものも映りません。エログロ大好きな僕としては、かなり肩透かしを食らいました。

 

一方で、恋愛ものとしては中々良くできておりまして。コンプレックス(それもかなり特殊な)を抱えた少女が、数々の困難を乗り越えながら恋を成就させるというストーリーラインは、王道ながら鉄板で良いですよね。

 

死んでも良いから1つになりたいという主張も、尖ってて素敵。プラトニック・ラブという理想論に殴りかかる直情的な主張です。中々できるもんじゃない。

 

キャストに関してですが、主演の馬場野々香さんは演技の幅が半端なく広いと感じました。濡れ場では妖艶な小悪魔って感じでぶっちゃけかなりエロかったですし、弟と喧嘩するシーンでは等身大の女子高生っぽい子どもらしさが滲み出ていました。

 

お尻を丸出しにしたり、全裸で血飛沫を浴びたりなど到底常人には我慢できない場面も丁寧にこなしていて、こういう人こそもっと映画に出て欲しいなぁ、と思ってみたり。

 

あとは何と言っても宇野祥平さん。やっぱりヤバいおっさんをやらせると、今の日本映画界で彼の右に出るものはいないんじゃないでしょうか。最近見た「恋のクレイジーロード」では異次元の狂人を演じていて物凄い迫力でしたが、今回は日常に潜んでいるような怖いおっさん。主人公を殴って蹴って、そして口にナスを突っ込む。彼のシーンだけでもこの映画は見る価値あります。マジで壮絶です。

 

このナスのシーンだったり唐突なレズ展開だったりと、シュールな笑いを誘う場面もこの映画にはいくつかあります。コメディリリーフとしてやってるのか、それとも本気でやってるのか分からなくなるところも、いかにもB級映画っぽくって好みなのですが、ちょっと真剣味が欠けるというか、テーマの重さと比較して演出の雑さが目立つ箇所もちらほらありました。ぶつ切りで前後の繋がりが理解できないシーンも多かったし。

 

総評といたしましては、諸々の荒さをB級映画の味として楽しめるか否かで、非常に評価の分かれる作品となっています。あとは何度も言いますが、エログロは期待しないように。恋愛ものなんだな、と覚悟して見に行ってください。爽快感よりも悲壮感。考えさせられる類の映画です。

 

◉追記

 

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久しぶりの更新はトークショーを見てモチベーションが上がったからです。監督と水井真希さんがいらっしゃっていました。ラストについての解釈も監督の口から聞けて大満足!  もっとこういう映画が増えて邦画界が盛り上がってくれたら良いですね。