邦画大好き丸の感想文

黄金時代は去ったのか? いや、まだ邦画にも面白い作品は生まれるはずだ、多分

【感想】旅のおわり世界のはじまり

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旅のおわり世界のはじまり

2019年公開

監督 黒沢清

 

 

◉あらすじ(映画.comより)

シルクロードを舞台に、日本とウズベキスタンの合作で製作したロードムービー。取材のためにウズベキスタンを訪れたテレビ番組のレポーターが、番組クルーとともにシルクロードを旅する中で成長していく姿を、現地でのオールロケで描いた。

いつか舞台で歌を歌うことという夢を胸に秘めたテレビ番組レポーターの葉子は、巨大な湖に潜む幻の怪魚を探すという番組制作のため、かつてシルクロードの中心として栄えた地を訪れる。早速、番組収録を始めた葉子たちだったが、思うようにいかない異国の地でのロケに、番組クルーたちもいらだちを募らせていく。そんなある日、撮影が終わり、ひとり町に出た葉子は、かすかな歌声に導かれ、美しい装飾の施された劇場に迷い込むが……。

 

◉私的評価

 

★★★★☆☆☆☆☆☆  4/10

 

◉総評

 

前田敦子さんがAKBにいた当時、僕は全くアイドルには興味がない人間なので、この子が人気一位です!  って盛り上げられてるのに疑問符しか浮かびませんでした。え、もっと可愛い子いるくない?  なんでこの子がセンターなの?

 

そのとても失礼な疑問にこの映画は答えを出してくれています。なんつーかね、動作? 雰囲気?  その1つ1つがとてもキュートなのね。パタパタ走ったり、ショボーンってなったり、もう何しても可愛い。顔はやっぱりそこまで好みじゃないんだけど、それでもこんなに魅力的に見えるんだから、そりゃあ一位になりまっせ。

 

さて、あっちゃん上げはこれくらいにしておいて肝心要な映画の話ですが。

 

異国情緒の映し方は舌を巻く見事さでした。人波が渦巻く市場しかり、雄大な自然しかり、リアリティが凄くあった。ファンタジックな撮り方じゃなく、地に足が着いたというか、本当に観光しているかのような構図の画が多くて、観客をふわふわさせるような。ウズベキスタンという未知の国を一流の技で調理していました。

 

かと思えば、警官から逃げるシーンではスリリングな動きのある、ドラマチックな映像だったりと、緩急のつけ方も流石だと感心。

 

ただね、ストーリーがとっ散らかってて僕的には合いませんでした。本筋はやりたくない仕事をしてる主人公がそれでも頑張って順応していきます、みたいなシンプルなものなんだけど、蛇足が多すぎる。

 

最終的にはもちろんストーリーラインは収束するんだけど、ただそれが曲がり道すぎて1つの物語を見ている観客からすれば混乱してしまう。主人公の成長も、だから唐突すぎると感じてしまうんです。あとは抽象的な描写やモチーフが分かりにくい。

 

前半部は海外ロケの裏側、みたいな感じで皮肉も効いてて面白かったのになぁ。特に謎の絶叫マシンにあっちゃんが何度も乗せられて、それに現地人がドン引きしてるシーンとか、かなり好きだったのに。後半に行くにつれて、いろんな要素がごちゃごちゃに詰め込まれてるもんだから、淡白なぽっちゃり系女子、みたいな映画になってしまった。

 

決してスマートな映画の方が優れている、なんて言うつもりはないんですよ。でもある程度の分かりやすさ、って必要だと思う。だって映画って娯楽なんだしさ。

 

そんな毒にも薬にもならない締め方です。