【感想】プロメア

プロメア

2019年公開

監督 今石洋之

◉あらすじ（公式サイトより）

全世界の半分が焼失したその未曽有の事態の引き金となったのは、突然変異で誕生した炎を操る人種〈バーニッシュ〉の出現だった。
あれから30年――攻撃的な一部の面々が〈マッドバーニッシュ〉を名乗り、再び世界に襲いかかる。
対バーニッシュ用の高機動救命消防隊〈バーニングレスキュー〉の燃える火消し魂を持つ新人隊員・ガロと〈マッドバーニッシュ〉のリーダー・リオ。熱き魂がぶつかりあう、二人の戦いの結末は――。

◉私的評価

★★★★★★★★☆☆  8/10

◉総評

昨今のオリジナルアニメ作品（ジブリを除く）で話題になるのって、まず入りやすさがあると思います。突飛すぎる舞台設定ではなく、ほぼほぼ現実と変わらない世界でSF（少し不思議）が絡んで若い男女が活躍する、みたいな。市民権を得ているように見えて、アニメってまだまだ倦厭されがちなんですよね。だから一般受けのいい設定に固まる。

それにひきかえ今作はもう、ぶっちぎってますからね。「君の名は。」？  知らねえよそんなもん！  みたいな感じ。

まず出だしから初見お断りの今石節が炸裂。タイトルドーンからのアクロバティックバトルがバーン。松山ケンイチ目当てで見に来た女性客は一瞬で頭をぶん殴られたような気持ちになる。

ストーリーももうはちゃめちゃ。熱さとノリと超絶ご都合主義でぐるぐるぶん回す。火消しだ火消しだ！って言ってたと思ったらSF全開のディストピア展開になって、最後には宇宙を巻き込む巨大ロボバトル。普通じゃねえ、いかれてる。

でも、それがいい。

例えばラーメン屋に入ったとして、セットのチャーハンや餃子が美味かったとしたら、それはそれで嬉しいんですけど、一番嬉しいのはやっぱりラーメンが美味しいことだと思うんです。そして、「プロメア」を見にきてる客は「君の名は。」や「心が叫びたがってるんだ。」を見たいわけじゃない。「キルラキル」や「グレンラガン」を欲していて、それに対する100パーセントの解答を出しているわけだ。満足しないわけがない。

もちろん不満点はありますよ。消防隊のメンツが良いキャラなのに掘り下げ少なくて活かせてなかったり、松山ケンイチの叫びがちょっとインパクト少なかったり。でもそれを上回るすげー点がいくつもあって。

何よりもまずはファンサービス。さっきも述べたけど需要と供給が完全に吊り合ってます。ロボの顔デザとか主人公のキャラデザとかモロだし。ストーリー展開も完全にいつものノリだし。テンポがクソ早くて息つく暇を与えないんです。それに女の子も可愛いし。あ、僕はエリス姉さんが一番好きです。普通に可愛くないですか？

動きのシーンも圧巻ものでした。劇場作でここまでやって良いの？ってくらい、動きのために作画を崩したりしてて。作画厨が興奮しすぎて死んじゃわないか心配なくらい。

あとは気になってた俳優陣の演技。主演の松山ケンイチはううん？ってなる所もあったけど及第点、って感じなんだけど、やっぱ今作で特筆すべきなのは堺雅人ですよね。マジでクレイジー。あまりのクレイジーさに、担当してるキャラを監督がもっとクレイジーな顔つきに変えちゃったくらいにはクレイジー。「滅殺開墾ビーム」とか出しちゃう。

やっぱ実力あるなーっと実感してしまう凄さでした。叫ぶシーンなんかはベテラン声優にも引けを取らない迫力。声優の話題に関しては主役2人を完全に食っちゃってますよね。

その他色々語るべき点はあるんだけど、ごちゃごちゃ言われるのを見る前に、監督の作品を１つでも好きなら間違いなく見に行かないと損をすると思う。DVD化を待ってても良いけど、スクリーンで見るライブ感は味わえないし。

とにかく熱くて熱くて熱くて熱い、そんな作品でした。