【感想】アラーニェの虫籠
アラーニェの虫籠
2018年公開
監督 坂本サク
◉あらすじ
郊外の工場跡地に建つ巨大集合住宅。
最近では、女子高生の変死体が発見され、不可解な心霊現象が目撃されるなど、いわくつきの噂が絶えない場所だった。
ここに引っ越してきた、気弱な女子大生りんは、ある夜、救急車で搬送される老婆の腕から大きな虫が飛び出るのを目撃する。
不思議なオーラを放つ中学生、奈澄葉や、呪術師の斉恩らとの出会いを通して、蟲や怪異の正体に迫っていくりん。
しかし、それはりん自身が、封印された過去と向き合うことを意味していた……。
果たして、りんを待ち受ける運命とは!? そして建物に隠された驚愕の真実とは!?
◉私的評価
★★★★☆☆☆☆☆☆ 4/10
◉総評
監督、原作、脚本、作画、音楽の全てを1人でこなしたという本作。肩書きは確かにすごい。これまで類を見ない程に。
ただ、これは映画なのだ。面白くなくてはならない。
今作は、ホラー映画として見れば悪くはない。ジワジワと鬼気迫る恐怖から、アメリカンホラー的なびっくりシーンまで、選り取り見取りだ。ジメジメした映像効果もjホラーっぽくて実に良かった。
目玉である“虫”の不気味さも個人的には好き。特に脳みそに蟹みたいな足が生えてるやつ。「パペラキュウ」っていうweb漫画思い出した。
独特な世界観は本当に唯一無二の作品だなぁ、って感心したんだけど、イマイチな点が2つ。
1つ目は難解すぎるストーリー。僕も完璧には理解できなくて、それで批評はマズイかなとパンフレットも買ったんだけど、それでもよく分からなかった。「あとは視聴者の想像に任せます」にしても、情報の少なさや整合性のなさで想像が膨らむまでには至らない。
ガチガチのホラーかと思えば金髪のパリピみたいな奴がいきなりバトルを始めるし、とにかく監督のやりたい事を詰め込んだんだなってのは分かるけど、娯楽の大切な姿勢である観客を楽しませるってのにもう少し配慮すべきだったのではないだろうか。
2つ目はアニメーションの粗さ。ある意味そこが売りにはなっているのだが、やっぱり動くシーンには違和感が所々あった。作品の方向性として、そこは求める部分ではないというのも理解しているが、それならそれでもっと工夫をすべきだったと思う。
演出面に関しては本当に良かったので、出来れば今度はモリモリ予算を注ぎ込んで作って欲しい。エログロ系は昨今廃れてきてるから、貴重なんだ。