【感想】ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー
ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー
2023年公開
監督 坂元 裕吾
◉あらすじ(公式HPより)
ちさと(高石あかり)とまひろ(伊澤彩織)は、また途方に暮れていた・・・。ジムの会費、保険のプラン変更、教習所代など、この世は金、金、金。
金がなくなる・・・。時を同じくして殺し屋協会アルバイトのゆうり(丞威)とまこと(濱田龍臣)兄弟も、途方に暮れていた...。
上からの指令ミスでバイト代はもらえず、どんなに働いたって正社員じゃないから生活は満足いかない。この世は金、金、金。金が欲しい・・・。そんなとき「ちさととまひろのポストを奪えば正規のクルーに昇格できる」という噂を聞きつけ、作戦実行を決意。ちさと・まひろは銀行強盗に巻き込まれたり、着ぐるみバイトをしたりとさあ大変。そんな二人にゆうりまこと兄弟が迫りくる・・・!育ってきた環境や男女の違いはあれど、「もし出会い方が違えば仲良くなれたかなぁ」なんて思ったり思わなかったり、ちょっと寂しくなったりならなかったりする物語である。
◉私的評価
★★★★★★★☆☆☆ 7/10
◉総評
坂元裕吾監督と言えば、当ブログで随一のアクセス数を誇る『ファミリー☆ウォーズ』。
このころはまさか、彼の映画をシネコンで見るようになるとは思っていなかったので(作風が万人受けじゃない)、イオンシネマで本作を鑑賞した際には感無量だった。
それはさておき本作であるが、こちらは2021年公開の『ベイビーわるきゅーれ』の続編にあたる。元々のルーツで言うと、同監督の『ある用務員』に出てくる殺し屋二人組をリメイクしての前作という流れなんだけど、まぁ、前作含めてそこまで見てなくても楽しめる内容にはなっています。ただ、坂元監督の殺し屋ムービーはそれぞれがびみょーにリンクしているので(殺し屋協会の設定とか)全部見ているとクスッと笑えるポイントが増えるかも。とりあえず上にあげた作品に加えて、国岡シリーズと黄龍の村だけでも是非。
さて、本作の感想ですが、前作と比較すると、アクションシーンはより洗練されていてプロ仕様になっているが、尖っていた部分も減って丸くなってしまった印象。敵のスケールがダウンしてしまっていることの弊害で、大量の敵を薙ぎ倒していくような爽快感あるシーンが減ってしまっていた。その分、敵側に重点を置いて描いているからこそ、定食屋で殺し屋同士が対峙するシーンは重い緊迫感があって良い雰囲気なので、一長一短か。
あと、個人的には敵の殺し屋兄弟がそんなに好きになれなかったのが残念なところ。悪い奴らではないんだけど、結局はルールを破って八つ当たり的に主人公たちを襲ってくるあたり、同情ができない。多分、彼らに感情移入させようとしている映画の構成なんだけど、そこが自分にははまらなかった。
対照的に、ちさととまひろのシーンはどれも面白く、特に掛け合いは相変わらずのクオリティですごく楽しかった。会話の間とか身振り手振りとかがすごく自然なのに誇張しているというか。見れる会話劇ってめちゃくちゃ難しいと思うんですけど、相変わらずそこは上手いなぁと感心。
掛け合いで好きなシーンといえば、やっぱり『花束みたいな恋をした』のところ。世界で一番ハナコイを擦っている映画だ。おそらく前作を見るよりもハナコイを見たほうがより本作を楽しめる。何を言っているか分からないと思うが紛れもない事実である。
脇役のキャストも申し分ない。特に前作から続投している水石さんと飛永さん。しっかりキャラを立たせながら、シュールな笑いを提供してくれたかと思えば、胸が熱くなるようなシーンも。
一つ残念な所をいえば、坂元監督作品のレギュラーと言っても過言ではない伊能昌幸さんが本作には出ていなかったところ。確かに前作で主人公たちにやられちゃってたけど、何とかして出てほしかった。もう、彼がいないと物足りない体になってしまっている。
総評としては、続編として申し分ないクオリティだったとは思うが、今ひとつ前作からの飛躍が足りなかったような、そんな作品でした。あとは殺し屋系列も好きなんだけど、知名度も上がってきたし、そろそろファミリーウォーズみたいなブラックなやつを一本お願いできないだろうか、と切望しています。