邦画大好き丸の感想文

黄金時代は去ったのか? いや、まだ邦画にも面白い作品は生まれるはずだ、多分

【感想】僕の町はお風呂が熱くて埋蔵金が出てラーメンが美味い

『僕の町はお風呂が熱くて埋蔵金が出てラーメンが美味い。』予告編解禁 | CINEMA FACTORY

 

僕の町はお風呂が熱くて埋蔵金が出てラーメンが美味い 

2023年公開

監督 本多繁勝

 


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◉あらすじ(公式HPより)

 

富山県射水市の「内川」沿いに住む、ちょっとドジだが憎めない高校生男子三人組、トオル(酒井大地)、アゲル(宮川元和)、ヨシキ(長徳章司)。
それぞれ家族や進学、将来に悩みながらも同級生の女子・花凛(原愛音)との会話を弾ませ、大好きなラーメンを食べ、熱いお風呂に浸かり、久しぶりの放生津曳山祭を楽しみに過ごしていた。

曳山祭りを翌日に控えた日、祭りの会長を務めるトオルの祖父・松蔵(泉谷しげる)が急死した。町の近藤医師(立川志の輔)が臨終を伝えると、家族に悲しみが広がっていく。ただ、370年続いた祭りの決まりで、総代や会長が亡くなったらその年は曳山が引けないという。松蔵が一番楽しみにしていた祭りが中止になるかもしれない。トオルはひらめいた。「じいちゃんはまだ死んどらんことにならんけ?」
一同、驚くが、祖母の佐江(丘みつ子)もトオルのアイディアに同意し、「出来んこと考えんと、出来ること考え!」と常日頃、松蔵が言っていた言葉を伝えて頭を下げた。

祭り当日、町中、多くの人で賑わっていた。父・俊也(金児憲史)の協力もあり、どうにか松蔵の会長挨拶も切り抜け、曳山祭りが始まった。「イヤサー、イヤサー」掛け声が飛び交っていく。

松蔵の葬儀の日、トオルは初めて家に借金があることを知る。アゲルやヨシキもあちらこちらでリゾート開発会社への借金の声が響いていることを耳にしているようだ。町中に不穏な空気が漂っていた。
そんな折、トオルたちは蔵で見つけた「射水埋蔵金」という巻物を開いてみた。「埋蔵金さえ見つかりゃぜんぶ解決するんや!絶対見つけるがや!」
スコップやバケツを手に、埋蔵金を探し始める三人だが・・・。

 

 

◉私的評価

★★★★★☆☆☆☆☆   5/10

◉総評

 

射水のPRとしては100点満点だけど、映画だと考えると物足りない印象の作品でした。

 

PR部分ですが、まずはこの映画の一番の見どころと言っても過言ではないラーメン。パンフレットには実際に劇中に登場したラーメン屋のミニマップが付いているという徹底っぷりで、どれもこれもめちゃんこ上手そう。定番ですが、富山ブラック食べたい。

 

曳山祭りの描写もすごく良くて、観光案内としてそのまま使えるような出来栄えでした。あと、昔ながらの銭湯。いいっすね。

 

さて、肝心の映画部分ですが、男子三人組の友情物語としてはコテコテで少し古臭い感じ。今どきの子供感を出すためにyoutube要素も絡めてるんですけど、やりとりや展開に既視感があるものが多く、特段悪いわけではないんですがもう一歩突出した部分が欲しかったように思います。

 

演技面でも結構素人臭さが出ていて、感動的なシーンでも今一つ感情移入しにくかった。子役の下手な演技って、それも味ではあるんですけど、高校生だともうちょっとしっかりした演技が見たいと思ってしまいます。

 

ストーリーに関して言えば、祭りを開催する流れや埋蔵金というアイデアの使い方など、面白い部分も多かった。ただ、組み立て方に少し違和感を覚えました。おそらく、画的に一番派手なお祭りパートはラストに持ってくるような構成にしたほうがいいんじゃないかなとか、意中の女の子に告白するシーンをメインではなくエンドロールに混ぜ込んでるとことか。

 

見せ場や話の盛り上がり部分をもう少し意識して脚本を組みなおせば、もっと良いストーリーラインになったんじゃないかなと上から目線で言ってみます。クソ偉そうですね。

 

あとは、どうしても低予算っぽい部分が目立っているのもマイナスでした。特に、タイムカプセルから出てくる昔の8mmフィルムを見るシーンですが、明らかに背景とかが現代日本そのものだったりして、かなり感動するシーンのはずが冷めてしまったり。

他にも大企業が土地を買収するために開いた説明会のシーンがあるんですけど、企業側の言ってることがヤバすぎてリアリティ皆無だったりとか。

 

もう一つ気になることと言えば話のオチ。高校生なりに頑張って地域復興を目指すんですけど、結局は赤の他人のおこぼれ的な感じで窮地を脱するという展開になってしまって、今までのは何だったんだと少しもやもやする感じに。悪の大企業もきれいさっぱり手を引くし。聖地巡礼的な儲け方ってデメリットも死ぬほどあるんだし、ホントにそれでいいのかな、と思いました。

 

まとめると、射水市に行きたくなるくらいには地元の魅力を伝えてくれるいい映画だったと思います。ただ、クソ長タイトルから変わった感じの映画を期待して見に行くと肩透かしを食らう、いい意味でも悪い意味でも普通の映画だった、という感想です。