邦画大好き丸の感想文

黄金時代は去ったのか? いや、まだ邦画にも面白い作品は生まれるはずだ、多分

【感想】貞子

f:id:ba81021:20190526183257j:image

 

貞子

2019年公開

監督  中田秀夫

 

◉あらすじ(映画ドットコムより)

心理カウンセラーの茉優は、警察に保護された1人の少女を担当することに。全ての記憶を失い自分の名前すら言えない少女と向き合う茉優だったが、次第に彼女の周囲で不可解な出来事が起こり始める。一方、WEBマーケティング会社に勤める祐介の薦めでYouTuberとなった茉優の弟・和真は再生回数を稼ぐため、5人の死者を出した団地の火事跡に忍び込んで心霊動画を撮ろうとするが……。

 

◉私的評価

 

★☆☆☆☆☆☆☆☆☆  1/10

 

◉総評

 

ここがダメだよ、貞子さん

 

①撮ったら死ぬ?→死にません

なんかYouTuber虐殺しそうなフレーズなのに死んだのは1人だけ。というか、本編通して明確な死者2名ってお前、呪いの代名詞貞子として恥ずかしくないの?

 

②動きがかわいい

必死に肩を掴んでうんしょ、うんしょって感じで相手を沈めようとしたり、見えない糸に引っ張られるかのようにズリズリーっと引き摺られたり。あざといよ。でもホラー映画だし決めるとこは決めないとダメだよ。

 

③呪いの基準が分からない

「リング」シリーズのキモって、呪いのビデオを見たら一週間後に死ぬ、っていう妙にシステマチックな恐怖だと思うんです。それが今作ではあやふや。死因呪い、詳細不明って感じ。貞子ちゃん、いくらシリーズ長いからって適当に呪うのはひどいよ。

 

④弱い

生身の人間にフィジカルで負けたり、獲物に何回か逃げられたりします。貞子選手、ブランクを感じさせる動きです。

 

とまぁ、貞子ちゃん自身にも悪いところはいっぱいあるんだけど、本作で一番酷いところはストーリー全般だと思う。

 

ホラーって大別すると2種類あって(完全な自論ですが)、恐ろしい謎が明かされてじわじわと観客に恐怖を与えるサスペンスホラー系と、とにかくどったんばったん大騒ぎなパニックホラー系。呪いのビデオにまつわる謎が徐々に解き明かされていく初代「リング」は、まさにサスペンスホラーの王道みたいな作品でした。だからといってそれを踏襲すればいいんじゃなくて、スピンオフ作品の「貞子vs伽倻子」は始まりから終わりまでジェットコースター級のパニックホラーだったんだけど、めちゃくちゃ面白かった。

 

今作はどこを取っても中途半端なんですよね。貞子に関する謎もほんの5分程度でさらっと知らされるし、かといってパニックホラーと言えるほど恐怖シーンが連続するわけじゃない。よく分からん家族の絆?みたいな逸話が流れたりするんだけど、それも尺が短いし。

 

特にオチは中途半端の極みでした。多くは語りませんが、それまでの主人公の行動を全て足蹴にするようなラスト。バッドエンドにするにしても、そこに至るまでになんの理屈も理由もないんです。とりあえず、ラストでビビらせればいいか、の精神が透けて見える。観客をバカにしてるとしか思えません。

 

というか、そもそもホラー映画として恐怖を感じる場面が少なすぎる。肝心の貞子も上で書いたようにポンコツだし。怖くないホラー映画ほど見ていて苦痛なものはありません。

 

一応褒めるところとしては、エライザちゃんはすっげえ頑張ってたんじゃないかな。怯えるシーンは嗜虐心をくすぐられて良し。

 

あとは、じわじわ系の恐怖シーンの描き方は流石に上手いと感じさせられました。冒頭の日本人形がくるくる回ってるカットだけ見て、「あれ、もしかしてこの映画面白いのかも」と期待を抱かせてくれます。すぐに裏切られますが。

 

とまぁ、散々なことを書いたんですけど、結論と致しましては、どうしても新しい貞子が見たい方は「貞子vs伽倻子」を借りましょう。100倍有意義な時間を過ごせます。こっちはめちゃんこ面白いので。