邦画大好き丸の感想文

黄金時代は去ったのか? いや、まだ邦画にも面白い作品は生まれるはずだ、多分

【感想】ぐらんぶる

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ぐらんぶる

2020年公開

監督 英勉

 

 

◉あらすじ(公式サイトより)

美しい海に囲まれた大学に入った伊織は、気のあう友人やかわいい女子と送る「キラキラな大学生活」を夢見ていた。しかし、オリエンテーションの朝、伊織はなぜか服も記憶もない状態で大学の講堂にいた。あわてふためく伊織は、同じく全裸で記憶がない、無駄にイケメンなオタクの耕平と出会う。やがて2人は、常識が通用しない、何もかもがぶっとんだダイビングサークルにたどり着くのだが……。

 

◉私的評価

★★★★★★★☆☆☆   7/10

 

◉総評

一昔前までは漫画実写化=爆死というイメージが拭えなかった邦画業界。しかし、ここ最近では『キングダム』を始めとして、7月度のボーアとまでは言わないがそこそこの打率まで持ち直している印象である(当ブログでも、『愛しのアイリーン』や『響 -HIBIKI-』をべた褒めしてます)

かと言って、目を背けたくなるような駄作・珍作も沢山生み出されていてまだまだ予断を許さない状況です。

 

それでは色々話題の本作はどうなんだい、と言いますと非常に面倒臭い立ち位置にいると思われます。点数付けるのがめっちゃむずい。

 

まずは邦画にありがちな原作崩壊ですが、これに関しては文句のつけようがないくらいにオリジナル要素の入れ方が巧みでした。かく言う僕もコミックスも集めているくらいには原作好きなのですが、オリジナル要素が雰囲気を壊しておらず、ノリも非常に近い。特に裸で踊るシーンは多用されていますが、原作のようにただ飲んで騒ぐだけなら地味な画になるところを上手く映画的にアレンジしたな、と感心しました。

 

次に原作準拠度ですが、こっちもほぼ問題なし。原作の面白いシーンを面白く撮って、きちんと面白い、と笑わせてくれる。普通にやってればできる芸当のように思えますが、媒体の違いがあるのにここまで寄せれているのは素晴らしい手腕だと思いました。

 

も一つ実写化映画の地雷ポイントとして、俳優の演技があります。アイドルを起用してやらかす、ってやつですね。今作では、ヒロイン役の与田さんはうん?って首を捻ることもありましたが、主演2人に関しては概ね満足できる演技力だったかと。きちんとバカな大学生をしていて、違和感はありませんでした。

 

では、何が問題なのか。ここまで褒めちぎっておりますが、なんで満点じゃないのか。

 

それは悲しいかな、頑張って原作を再現しようとしすぎたが故に生まれてしまった欠点です。結論から言うと、今作は映画として成り立っていません。

 

何故なら、余りにもシーンがぶつ切り過ぎてストーリーが繋がっていないからです。一つ一つのシーンは上の文章でも語っているように、とても面白い。ですがそれは原作の選りすぐりの場面をこれでもかと詰め込んでいるからなんです。欲張り過ぎた結果、取捨選択ができていないと感じられました。

 

漫画であれば、例えば一冊の中に1話から4話まであったとして、それがバラバラの話だったとしても別にいいんです。だって次の巻があるから。でも映画は違います。上映時間という縛りがある以上、4話で終わらせないといけないので、必然的に1話から4話までは繋がってなくてはいけません。本作にはその繋がり、ストーリーの本筋が圧倒的に欠けています。

 

真の映画好きであれば、構成もクソもないこの映画を駄作だと断じるべきでしょう。しかし、漫画の実写化という観点で見れば、全く欠点のない傑作であると言っても過言ではない。

 

その狭間で揺れ動いた結果が冒頭の評価点です。どちら側に天秤が傾いたかはお察しのとおり。色々語りましたが、結局は面白ければそれでいいんですよ。自分の心に従いましょう。